愛情系 005-1 / TYPE-S

見えない絆
みえないきずな






  ――ねえ

  ――何?

  ――ねえねえ

  ――何何?

  ――僕のこと、好き?

  ――好きだよ

  ――どこが?

  ――…言えないよ、そんなこと

  ――どうして?

  ――だって、……恥ずかしいじゃないか

  ――う〜ん、じゃあ……どのくらい好き?

  ――凄く、だよ

  ――凄く?

  ――うん

  ――凄くってどのくらい? …このぐらい?

  ――もっとだよ

  ――じゃ、このぐらい?

  ――もっともっと

  ――こーんなぐらい?

  ――もっとだってば。今君が示したのの十倍――…いや、百倍は。君のこと、想ってい

    るよ

  ――本当?

  ――本当

  ――じゃあキスして

  ――いいよ。…………

  ――…………。ありがとう

  ――こちらこそ
         
 いしおかくん
  ――ありがとう、石岡君





  
「 サ ヨ ナ ラ 」





  ……そっと、重い両瞼を開いた。とてもとても暗い部屋。目醒める度に永遠の眠りを夢

 見てしまう、自室のベッド。今日もこれからの長い一日を独りで過ごさなければならない

 のだと思うと、本当に“死にたい”とさえ考えてしまう。

  寂しい、痛い、哀しい、辛い、苦しい、……切ない。

  独りでなんて、とても生きていけないよ。



  夢の中の僕。凄く幸せそうだった。
  
みたらい                  かお
  御手洗に愛されていた僕。心から充たされた表情をして笑ってた。



  夢の中のように――


                   
 すが
  愛し合っている恋人同士なら、僕は彼に縋れたのに。彼を追っていけたのに。

 “友人”だからこそ、僕にはそれが出来ない。

 “友人”ならばいっそ――この苦しさも切なさも、何も感じなければいいのに。

  君を求める僕。

  僕を捨てた君。

  結ぶことをしなかった愛情の糸。

  今にも消え入りそうな友情の糸。

  ほんの少しのきっかけさえあれば――僕等はきっと。

  世界一幸福な恋人にも友人にも、世界一不幸な恋人にも友人にもなれたのに。

  ほんの少しのきっかけさえあれば――



  今こそ捨てられたらいいのに。記憶さえ全て失えたらいいのに。



  ……ねえ今日だけは、君を想って泣いてもいいかな。

  今日だけは――そう言いながら。

  事あるごとに僕は君を想い、独りで泣いているのだけれど……。











正確にはこのお話、≪友情系≫なんですけど。
こういう可能性を考えちゃったことってないんですかねぇ、
あの二人……?



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