友情系 003-1 / TYPE-S

心の闇 ―御手洗潔―
こころのやみ ―みたらいきよし―






 救うか、見捨てるか。選べる道は二つしかなかった。

 僕はまだ、俗に言う“愛情”というものを、我が身の内に感じた経験がなく、

 僕はただ、本能と運命に抗うことが出来ず、導かれるままに彼と関係を結んだ。

 それが、こんなことになるなんて――。



 …そう、“それ”が今でも、よく解らない。
    
 いだ
 僕が彼に抱いている感情の正体が、
    
 いだ
 彼が僕に抱いている感情の正体が。


     
ひと
 本当は、生物の感情に名などいらないと思うのだけど、

 何もかも黙って遣り過ごせる程、世間は甘くもなくて。



 生まれて初めて遭遇した“謎”が解けず、無様にも、僕は――逃げ出した。


    
ひと  みな
 なのに大衆は皆、この僕を“完璧”と讃え崇める。

 本当に大切なものさえ、守りきることの出来ない騎士なのに。


     
 いと
 ごめんね、愛しい君。僕に突き放す理性がなくて。
     
 いと
 ごめんね、厭しい君。僕に束縛する勇気がなくて。



 今はただ純粋に、君の傍にはいられない。

 これが、皮肉で傲慢で訳知り顔の男の正体。――何て滑稽なんだろうね!



 ねぇ君、本当は解ってるんだろう?
             
わら
 ねぇ君、愚かと蔑み――…嘲笑ってくれよ。











これねぇ……初めて書いた≪御手洗潔シリーズ≫の詩なんですけど。
当人が存在自体をすっかり忘れていて、確か同人誌の頁数を埋めたかった時に
ふと思い出して詩のファイルから引っ張り出してきたものなんですよ。
そしたら……
…いやー、人間って本当に噴き出し笑い出来るものなんだなと
この詩と再会した時にはビックリしましたね。
同人誌に掲載する際ちょこっと手直ししましたが、
何だかもう耐えられないぐらいに臭かったの(笑)。
ある意味、思い出の一品。

*** 石岡和己ヴァージョンはこちら ***



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