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【 性描写(分類D) 】 【 不快な表現が多用されております。覚悟の上、御高覧下さい 】 ‖ 上記注意書きに危険を感じられた方はこちらからお戻り下さい ‖ |
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EXTRA STAGE 017-1 / TYPE-S 覚醒残夢 かくせいざんむ |
「――あ、プロフェッサー、お顔の色が優れませんね。どこか具合でも?」 「え? ……あぁ、いや……別に。大したことはないのだけれど……いや、やっぱり少し 疲れているのかな、頭が……痛い……」 「最近ずっとそんな御様子ですね。今日はもう御自宅へ戻って休まれた方がいいんじゃな いですか?」 「そう…だね……そうさせて貰うよ。――じゃあこのレポート。すまないが君のグループ みんな の皆に返しておいてくれるかな?」 「はい、解りました。それではミタライ教授……お気を付けて」 「ありがとう。……それではね」 冷たい北欧の風に吹かれ、帰路を辿りながら僕は深く双眸を閉ざした。 エキサイティングな研究、向上心溢れる仲間達とのディスカッション。充実した生活― ―何不自由ない。自らが望んで手に入れた日々。 なのに…… 時折。 わず 僅かな隙を衝き僕の頭に直接語りかけてくる男の声。 みたらい ――…洗……御手洗…… 『もう! せっかく昨日僕が片付けたばかりなのに君はまたこんなにも机の上に物を山積 あと みにして! どうして使った後に元の位置に戻せないんだよ、いい加減うんざりする! 僕は君の家政夫じゃないんだぞ!?』 『ほら、結構雨降ってるじゃないか。傘はさした方がいいよ、風邪をひいたら大変なんだ から』 さっき 『…へえ、本当だ……先刻言ってた通りになったね。君ってやっぱり凄いなぁ』 『うわぁ、こんなに素晴らしい夜景をこの目で観られるなんて想像もしてなかったよ。何 て言うか……あぁ、言葉では表現しきれない程綺麗だ…――ありがとう、御手洗く…――』 「――うるさい!」 ひとけ 人気のない林の中。つい僕は感情的に叫んでしまう。 確かに彼はいい友人だった。だが―― 僕の生活を規則で縛ろうとするところがあった、少しお節介なところがあった、何でも 人に頼ろうとするところがあった、たまに鬱陶しく――足手纏いだと感じさせられること があった。 だから――切り捨てて、ここまで逃げてきたのに。 「……追いかけてくるなよ……」 彼の声はいつでも純粋な思考を霧散させる。 もうこれ以上……邪魔されたく、ないんだ。 いし おかくん 「…石…岡君……」 ぽつり、とその名を口にすると頭のどこかが盛大に痛んだ。 一体いつから僕は、こんなにまでも“弱い人間”になってしまったんだろう。 ********** 自宅のベッドに腰を掛け、両手で深く顔を覆った。 最悪な気分だ。あんな名前、口にしなければ良かった。 彼はどこまでも僕の人生の邪魔をする。 とど あんな事件を引き起こし、僕を日本に留まらせ。 その頼りなげな目付きで、仕草で僕の保護欲を呼び醒まし。 そんな身体をやっと切り離せたと思ったら……今度は僕の精神を掻き乱す。 遠い記憶の彼が叫ぶ。僕の理論に歪みが生じる。 遠い記憶の彼が笑う。僕の新たな友情を妨げる。 遠い記憶の彼が泣く。僕は…… 狂いそうな激情の果てに、彼を目茶苦茶に泣かせてやりたくなる。 何故、こんな気持ちになるんだろう。 僕は、頭がおかしい…… ********** 耳の傍まで上げ反らした華奢な右腕で頭の下に敷かれたクッションを掴む。荒い呼吸に 上下する薄い胸、闇に耀く白い肌。 腰の辺りにシーツを巻き付け、しかしそれすらも淫猥な印象を深めるだけといった様相 ゆか の男が床に身体を横たえ穏やかな愛撫に酔っている。 うっとり 相手の右手に胸を弄られ、左手に下肢を犯され彼は恍惚と瞼を閉じた。艶然と微笑む紅 い唇。 そんな光景を冷静に眺めながら僕が考えていたことは“彼は自分が思っていた以上に厭 らしい生き物だったのだな”ということだけだった。 色付いて震える媚態に、相手の男が満足気な苦笑を洩らす。 目醒めた時、僕は全身に水を浴びたかのようにびっしょりと汗をかいていた。 悪夢だ――それ以外の感想を、抱きようがなかった。 ***** その翌日。僕はまた夢を見た。 ゆか 冷たいコンクリートの床に身を置き、傍の柱に両手を縛られ、ズタズタに引き裂かれた いたぶ シャツの中身をじっくりと甚振るように撫で回されている痩躯の男。 乱暴な腕に、言葉に嬲られ彼は弱々しく悲鳴を上げた。前から、後ろからと角度を変え 犯されながら時折甘さの滲む声で彼は救いを求めて叫ぶ。 『…厭、厭っ……は、…ぁん、……助、けて……――御手洗……、…御手洗……っ…』 ・・・・・・・ あの事件の最後と同じ、苦しい表情を見せ彼が目の前で泣いている。 壊れてしまいそうな程、胸が痛かった。 僕は、夢精していた。 ***** それから数日が経ったある土曜日。また夢の中に彼が出てきた。 今度は洋服をきちんと身に着けており、彼の手元にはセンスの良いティーセットとケー キの箱が置かれている。どうやら午後のリラックスタイムらしい。 だが、彼の隣には見知らぬ男が立っていた。 あと 男が何事かを囁くと彼はその背を軽く叩き、その後くすくすと心底楽しげに笑い合う。 馬車道のマンションにとてもよく似た、陽だまりの似合う白い部屋。 そこで仲睦まじく暮らしている二人の男。 『君だけが僕の理解者だよ。ありがとう――傍にいてくれて』 僕にすら見せたことのないような綺麗な笑顔で。 彼は、その穏やかな眸に男の姿だけを映し出し。 よくあさ 翌朝、僕は流しに顔を伏せ思い切り胃の中のものを吐いていた。 何故だか死にたいような気分になった。 ********** 「な…んで、こんなこと…っ……、御手洗…――あ、あぁっ……!」 きぬず 幽かに響く衣擦れの音。 僕の肌に喰い込む彼の爪。 しっとりと汗に濡れ燃え立つ身体。 こす あ 彼の熱い粘膜を擦り上げる僕の鼓動。 優しく、激しく、何度も。 「……や、嘘、…何で……んんっ、ぅん……っ……、どうして、…なんだよっ……?」 「――…気付いたからさ……二十数年もの間この僕を悩ませ続けていた感情の、正体に… …」 「…ぃ、やあっ……!」 じだ そそ あと 耳朶に囁きを注いだ後、ぐっと腰を前へ突き出す。痛みしか感じないようなやり方で。 つね 性器を扱き。乳首を抓り。 あと そして痛みと苦痛に散々彼を慣らした後、今度はじっくりと感じるところを優しく愛撫 な さす くすぐ し始める。舌と唇を器用に操り繊細に肌を舐め擦り。胎内の芯をペニスで擽り彼の喘ぎを 聴き続ける。 北欧の地で四度目の夢を見た直後――僕は、真実に気が付いた。 “最も大切で厭わしく思っている親友”を自分がこの手で犯す夢。 何度も――泣かせて、淫して、狂わせて。 本当は、心のどこかでは自覚もしていたはずの感情。 面倒だとごまかし続けていただけなのだ。 もう、嘘は吐けない――… あと 「ねえ石岡君、僕がいなくなった後、君は誰かと愛し合った……?」 「……ん、んん……」 「じゃあ誰かに、レイプされた……?」 「……されて…ない…っ……」 「僕の他に、親友を……作ったかい……?」 「…作って、ない…よっ…――ッ!」 「――結構だ」 「…は! あッ! ああああぁっ……あぁんッ!」 つつ もどかしくポイントを突いていた性器を後孔の入口まで引き摺り出し、勢いを付け一気 すが つ に奥へと叩き込む。彼は泣きながら、淫れながら狂ったように僕の身体に縋り付いて叫ん だ。 「あっ、厭……達くっ……もぅ、助けて……」 彼だって本当はもう気付いているはずだ――こんな風に誰かに強姦されたとしても、自 分が救いを求められる友人は世界にただ一人しかいないのだと。 「あぁっ、助けて、助けて助けて…――」 「またそうやって君は人に助けを求めるんだね……そんなに泣いて、一体誰を呼んでるの ?」 「ぅ、っ……ぁ……助けて、…………御…手洗……」 「――あぁ、勿論だとも。君のことはいつだって僕が助けてあげるよ……“石岡君”」 「……あっん……はあっ、……あんっ、あっ……」 「いいよ、そのまま……君は僕の為だけにその可愛い声で、厭らしく、……鳴き続けて… …」 「…んっ、助けて、……みたらい、たすけて……」 しな ビクン、と不規則に互いの身体が震えて撓る。何度果てても尽きることのない、激しい みなぎ 欲望を漲らせ。 あぁ君は――一体どちらの僕の名を呼んでいるのだろう。今君を犯し軽蔑されている僕 ? それとも……以前君を守り尊敬されていた頃の僕、なのかな……? ――他の恋人を、友人を作ることを互いに許容することが出来ず。 絶望の淵にいても、頭に思い描くのはただその人の存在ばかり。 おかしいだろう? そんな友情。 おかしいと……思ってたんだ。 だってこんなに趣味も考え方も違うのに。こんなに厭なところばかりが目に付いて仕方 がないのに。 傍にいなければ壊れてしまう。 傍にいればこんなに落ち着く。 周囲が見えなくなり、永遠を望み、こんなにも――猥雑で、穢らわしいものがこの世で 最も美しい存在に思えてしまう。 世界の真理――もしかしたらそんなものより大切なものがここにあるのかも知れないと さえ信じてしまいそうになる程に。 「……僕を救ってくれるかい? 石岡君……こうして……」 「……ン、……ぅっ……」 「僕と同化し孤独を癒し、僕を受け入れ罪を赦し……」 「ぅぁ、…は、あっ……」 「君でなきゃ。君でなきゃ、出来ないことなんだ……他の誰にも。代わりなんか出来ない。 …ねえ、お願いだよ、お願いだよ……」 「……御手洗……」 「君のたった一人の親友のお願いだ……聞き届けて、くれるよね……?」 め 彼の両手の指先をゆっくりと絡め取り、僕はその涙に濡れた眸を見下ろした。甘く口吻 け哀願すると、彼は唇を薄く開いて僕の舌を受け入れる。掌を重ね合わせ何度も浅く深く 口吻けを交わした。 もう、頭痛なんてしない。 「……どうして、僕なの……」 「……知らないよ……」 夢のように温かく柔らかな彼の舌。僕の愚かで不器用な愛の犠牲になった男の身体はど こまでも僕を魅了する為に創られている。 どこで何をしていても、何を考えていても。 結局運命からは逃れられないものなのだと思い知らされた気分だった。 多分、この愛を選んだ僕は間違っているのだろうが――それでも。 “この愛を認めず選ばなかった僕”よりは遥かに人間らしく孤独ではない人生を送れるだ ろう。 かずみ 「…ねぇ解るかい君、こんなに僕が興奮しているのは“君が石岡和己だから”だってこと ……」 「ン! んんっ、…ぁっ、やめて、やめて……」 きよし 「そして君がそんなにおかしくなる程感じるのも“僕が御手洗潔だから”だって…ね…… ?」 「…厭、言わない…で……――っああ!」 わめ 「僕に常識を説く石岡君、僕にお茶を淹れてくれる石岡君、僕に絶交だと喚く石岡君……」 「い、や……いや、い…やぁ……っ」 「僕の仕事を本にしている石岡君、僕の助手として働いてくれている石岡君、愛してるよ …――――」 「……ふ、っ……ンンっ、……ん…」 言葉では抗いながらも唇の外で、中で絡み合う舌と舌。酷く淫猥な音を響かせて。彼は かぶり 厭々と頭を振りつつも必死で僕に応えてくれる。 「ねえ、君も独りになって解ったろう? …解った、よね……?」 「……ぅ、ん……うん……うんうん……」 め 「あぁ泣かないで、いつまでも綺麗な眸をした石岡君。それでいい、君は間違ってなんか いないよ。君は僕のことだけを信じてくれれば、いいから……」 優しく囁き僕は正面から彼と繋がる。僕の形に彼を拡げて、僕の雫で彼を充たして。 いのち ――もう、離さない。君こそが僕の生命だよ。 「……愛してる……」 |
下書きをきちんとせず直接ワープロで打ち始めたのがまずかったんでしょうか。 御手洗……大丈夫なのか? 頭……(いや、問題なのは書き手の頭だろう:笑)。 ――って言うか、何故こんなことに。 私は彼の“心の声”を言葉にしてみようと思っただけなのよー!?(おかしいな!:苦笑) |