ET CETERA 002-2 / TYPE-C

EXTRAORDINARY NIGHT
エクストラオーディナリー ナイト





   みたらい
 「御手洗……」

 「…ん……」

 「そこじゃ、ないよ……」

 「……――
……ここ?」

 「んん、……ねぇ、もう、ちょっと……強く…やってよ……」

 「うん……」

 「…………」

 「…………」

 「…………」

 「…………」
          
 なん
 「……――…あー……何かなー…………
こいつ、違う……」

 「…えっ?」
                            
 なん
 「〜〜〜〜ああぁ〜、何なんだよもうお前はっ!! あぁーっ、何か微妙〜に苛々する! 

 全然駄目だ、
失格ッ!!

 「え……ええ!?」

 「もう、何だってそう畏る畏る触ってくんだよっ! キスだって短かったし!」
         
さっき
 「ええ!? だって先刻顔を近付けたら小さな声で『…やだ』って言ったじゃないか?」

 「バッカお前、あんなの
ちょっと可愛子ぶってみただけだろ!? もっとこうガッと来いよ、
                        
 なん
 仮にも御手洗なんだから! 大体お前やる気ないよ、何か大人し過ぎ、御手洗のくせに
          
 いしおかくん
 「はあっ!? 何なんだ石岡君、訳が解らないよ! って言うか
その前にあったちょっとシ

 ョッキングな裏の顔はさて置くとして“御手洗のくせに”ってどういう意味だ?」
            
 きよし
 「だから! お前は御手洗潔なんだろ? だったら『あぁ、もうこんなになって……何て

 厭らしいんだろう君は』とか『この世で君より美しいものを僕は見たことがないよ』とか。

 ちったぁ囁いてみろよ! 
くっさい科白だけで僕をイカせてやろうぐらいの勢いでさぁ!

 「何だそれっ!? って言うか何でそんな思ってもいないことをこんな場面で言わなくちゃ

 ならないんだ!?(
ちなみにたった今君が意外に厭らしい男だということは判明したが)」

 「もう、くっさい科白と類稀なるテクニックを期待して泣きの芝居まで用意してきたのに

 ! お前がそんなんじゃこの僕が最高に耀けないじゃんか! って言うか、
僕が勿体無い

 !!


 「いいっ、石岡君っ!?」
     
 
なん
 「ほらー、何か言ってみろよ、キッザ〜な科白。お前そういうの得意だろー? 何でもい

 いからさぁ」

 「――…こんな状況で言える科白も神経も持ち合わせてはいないんだがね……」

 「ええー? 何だよもう、繊細だなー。君ってそんなキャラだったっけー?」

 「君こそそんなキャラだったっけ……?」

 「あーあ! 君に『こんなに淫らではしたない身体だとは思わなかったな……』って意地

 悪嬉しそうに囁かれるのを楽しみにしていたのに! 幻想だったな! 君がそんな人だと

 は思ってもみなかったよ」

 「
君が一体どれ程淫らではしたない身体の持ち主なのかは予測も付かないことだけれど

 後の一文をそのままそっくりお返しするよ」

 「あぁ、裏パロの石岡君は素敵に厭らしい御手洗にあんなにまでも可愛がられているとい

 うのに。羨ましいな、裏パロの僕! 代われるものなら代わって欲しいよ……」
                    
 ふじみや
 「そこまで言うか!? って言うか裏パロなら藤宮ンとこのでもいいのか!? 
結構酷い目に

 遭わされるぞ!?

                
 なん
 「あれはあれでいいのさ……彼等は何かもう精神的に別の世界へ行っちゃってるからね…

 …(恍惚)」

 「石岡君、何を求めているんだ君は……戻ってきてくれ……(泣)」

 「――…さぁ御手洗……二次元の彼等に出来て僕等に出来ないはずがない、もう一回始め

 からやり直そう……? ――じゃあ、
まずは君のくっさい口説き文句から!

 「
まだ拘るのかそれに!! うわーん、もう誰だよ、僕のイメージをこんな風に固めちゃっ

 たの! っつか、厭だよこんな石岡君! あぁ、夢なら早く醒めてくれ……!!」

 「はぁ? 何アホなこと言ってんだ、最高のプレゼントを前にして贅沢な。――今夜は、

 寝・か・せ・な・い・か・ら・ね……?」












2006年11月27日、御手洗潔氏の誕生記念日に
≪戯言日記≫の方でUPさせていただいた小篇です。
石岡君のお誕生日に(形ばかりとはいえ)お祝いをしたのに
御手洗さんの方だけ何もしないというわけにはいかないなーと
思いまして……(どちらも即興で非常に申し訳ないですが:泣)。
ちなみに“ORDINARY”は“ありふれた、平凡な”という意、
“EXTRAORDINARY”は“並ならぬ、異常な”という意です。




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