ET CETERA 002-1 / TYPE-S

ORDINARY DAY
オーディナリー ディ





  みたらいくん
 「御手洗君さー…」

 「んー? 何だい?」

 「君ってさぁ、僕を見てて性欲とか感じたことある?」

 「――――…はあ?」
          
いしおかくん
 「いや、だからさ。“石岡君にキスしたい”とか“触りたい”とかさ、そういうことを。

 一度でも思ったことがあるかって話」

 「…………」

 「何だよ、何で黙ってんの」
                        
 なに
 「――呆れてるからだよ。……全くもう君は……また何か下らない物でも読んだのか?」

 「読んでない、ちょっと訊いてみたくなっただけだ。なぁ答えろよ、冗談抜きで」

 「…莫迦莫迦しい……レオナか君は。何故そんなことが知りたいんだ? 僕には信念があ

 る、それを死ぬまで貫き通したいと思っているだけだよ」

 「それは肯定か? 否定か?」

 「――解釈は御自由に」

 「またそれだ。――なぁ、何でこんな単純なことにそういうややこしい答え方をするんだ

 ? 噂を広めてるのも長引かせてるのも半分はお前のその答え方が原因なんだぞ?」

 「そしてそのもう半分は君が僕等の本を世間に発表していることが原因だろう」

 「うるさい。しつこく訊かれたくなけりゃちゃんとYesかNoか答えればいいんだ」

 「…………」

 「答えは?」

 「――例えば、そうだな……ねぇ、石岡君」

 「あ? 何だよ」

 「では僕からも一つ質問だ。これはあくまで例え話だが、君が僕の終生を決める権利を得

 たとしよう。さぁ石岡君、君は僕と共に一生在り続けたいか、それともいつかは運命を分

 けたいか?」

 「…………」

 「答えは?」

 「……そりゃ君と一緒にいれば面白いものは見られるし楽しいとも思うけど……あー、で

 もなぁ、腹立つことも多いしなぁ……」

 「…………」

 「それ今答えなきゃなんないか?」

 「出来れば答えが聞きたいね」

 「えー、だってそんな、……無理だよ。だってそんなの急に答えなんか出ないもの」

 「では僕と一緒だ、君も僕の質問に答えなかった、よって僕も君の質問には答えない」

 「――…狡いなぁ」

 「そうは思わないけどね」



  ――さて、相手の本心を探ろうとしているのはどちらでしょう?


  そんなこんなで相変わらずの日々を過ごしている二人です。












2006年10月09日、石岡和己氏の誕生記念日に
≪戯言日記≫の方でUPさせていただいた小篇です。
新作を書く余裕はないので作品UPは諦めていたんですが
「やっぱり何かしたいな」と当日に思い付いてしまいまして……。
こんなんだったらすぐ書けるんだけどなぁ(苦笑)。




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