今 僕の目の前に

 広がる 紅い海

 貴方が持ってきてくれた あの薔薇の花束みたいに

 深く耀く 紅い海



 今日は僕の 十八歳の誕生日

 貴方は約束通り 来てくれたのに

 
――どうして…… 目を開けてくれないの……?


                  
いし
 妖しいまでに美しく耀く 二つの青い宝石

 伝説のサファイア

 運命……なんだね
    
いのち
 貴方は生命を吸い取られ
 
いし
 宝石は紅く染まっていく

 その耀きは 一層美しさを増して……



 僕達も そう “赦されぬ愛”だものね……



 安らかに 目を細め

 貴方と一緒なら 本望だよ

 白い喉に ナイフを突き立て

 冷たくなっていく手を 繋ぎ合わせる



 微笑む 魔性のルビー
             
いし
 悲劇を呼び寄せる 破滅の宝石

 僕は目を閉じた

 もう誰も傷付けないで

 虚しく 呟きながら……